胡蝶蘭の葉が黄色くなってきた!葉の中心からだんだんと黄色く変色してきたり、茶色くなって葉が落ちてしまうなど現象が起こると思います。
そこで、この記事では胡蝶蘭の葉が黄色くなる原因を植物のメカニズムを元にわかりやすく解説しています。
根本的な原因は根の傷み(根腐れ)
まず、胡蝶蘭の葉を触ったときに肉厚で、緑色の部分があり、葉の中心や一部だけ黄色くなってきているような場合は、根の傷みが原因であることが多いです。
葉が肉厚ということは葉には水分が行きわたっている証です。
植物のメカニズムとして水分は根から吸収されます。
しかし、葉が黄色くなるのは生育に必要な水分量を超えてしまっているサインです。人間でいえばジュースやお酒を飲みすぎるとお腹を壊しますよね?
根の傷みが酷くなると根腐れといって完全に根が腐ってしまい枯死します。
植物にとって根は自分の体全体を元気に保つ大本です。その根になんらかのダメージを受けたことで葉が黄色くなったのです。
では、“なんらかのダメージ”とは具体的にどんなことなのか?を説明していきます。
根が傷む原因
水のやり過ぎ
最も大きな原因として考えられるのが水のやり過ぎです。
水のやり過ぎによって鉢内が乾かず根が傷んでしまうケースです。
葉が肉厚にもかかわらず黄色く変色してきているの直接的な原因は、水のやり過ぎです。
胡蝶蘭の成長に必要な水分量を超えてしまっています。
基本的に胡蝶蘭は水やりの頻度は少ない方が良いです。
胡蝶蘭は熱帯雨林のジャングルにある背の高い大樹に絡まって生きています。こういう蘭のことを着生(ちゃくせい)ランと呼びます。
つまり、根が土の中に植わっているわけではなくむき出しになっているんです。
野生の胡蝶蘭がどのように水分を吸収しているのか?というと、1つは雨です。雨が降っても土の中に植わっているわけではないためすぐに乾くんですね。
また雨意外には霧やそもそも高温多湿のジャングルで生きているため、過乾燥になることはありません。
胡蝶蘭の理想的な水分吸収は根が濡れてもすぐ乾くような状態です。
そのため鉢内が水分で濡れている状態は生育にとって悪い環境になります。
陶器の鉢に植わっている頂いた胡蝶蘭などでそのまま栽培している場合、水やりはジョーロでやったなら次に与えるのは完全に水苔がカラカラに乾いてからでも十分です。
基本的に日頃は株の根元に霧吹きを与える程度で良いでしょう。
寒さ(温度が低い)
胡蝶蘭の生育適温は最低温度18℃~最高温度27℃です。
日本の室内で胡蝶蘭を育てるのが最も難しいのは冬です。
日中は暖房を付けるので室温が25℃くらいに保てると思いますが、夜は暖房を切りますよね?
特に会社やリビングなど夜間に人が誰もいなくなる環境で暖房を付ける人はほぼいないと思います。
年間を通してエアコンを24℃くらいに保ち、付けっ放しにするのは犬や猫などペットを飼っている人くらいでしょうか。
つまり、胡蝶蘭の根が寒さによって傷む、あるいは水やりが多いこと+寒さによって根が乾くまでの時間がかかるためダメージを受けることがあります。
日照不足(置き場所)
野生の胡蝶蘭は熱帯雨林の高木に絡まって生きていることはお話しました。
直射日光に当たるわけでもなく、地面に近いわけでもないため、木漏れ日が指すような半日陰で生きています。
この野生での環境をオフィスや室内で再現したい場合、どんなところが良いのか?といえば
日当たりの良いレースのカーテン越しです。
やはり蛍光灯など電球だけの明かりだけでは元気に育ちません。
元気に育たない=根がダメージを受けているということです。
ちなみに電光だけだと、頂いたときや購入したときの青々とした深い緑色ではなく葉色が褪(あ)せてきます。
風通しが悪い(無風)
風通しの悪さによって直接的に葉が黄色くなるというよりも、蒸れなどによって加湿、水分過多状態になり根がダメージを受けるというイメージです。
蒸れる要因の1つにラッピングがあります。通常贈答品としての胡蝶蘭はきれいな和紙でラッピングされています。
しかし、ラッピングをしたまま飾り続けていたりすると水やりをしても鉢底から排水されませんし、通気も悪くなるため、根にダメージを与えます。
風通しについては置き場所にも関わってきますが、胡蝶蘭の生育には周りの空気の動きも大切になります。
“風のゆらぎ”というもので、自然な風の流れに当たることで生育が良くなります。
これはやはり野生の環境が関係していて、胡蝶蘭は熱帯雨林の高木に絡まっているので適度な風も受けています。
ゆらぎを再現するために、温室栽培では扇風機を回したりするのですが一般家庭では難しいです。
ならエアコンの風ならいいのでは?と思うかもしれませんが、当たりっぱなしだとダメです。
乾燥(湿度不足)
乾燥(湿度不足)が直接的原因によって葉が黄色くなることはありません。
ただし、胡蝶蘭が元気に育つ=根が元気に育つには湿度管理は必須のため無視できません。
野生の胡蝶蘭は高温多湿のジャングルに生育しているので、室内で育てる場合60%以上の湿度を保つ必要があります。
おそらく、主に冬期ですが温度は暖房によって室温を20℃程度に保てても、湿度管理まではしていないケースが多いと思います。
具体的には加湿器によって部屋の湿度を60%以上に保ち続ける、あるいは霧吹きをするなどです。
病気
病気が原因で葉が黄色くなる場合は、ウイルスに感染して株全体がダメージを受けていたり、水分過多により株や植え込み材料にカビが生えて悪化してきたなど、
なにか特定の病気によって直接的に葉が黄色くなるのではなく、複合的な要因が重なって起こります。
また病気の場合は葉だけ黄色くなるのではなく、例えばベタベタしていたり、葉の付け根が黒くなっていたりなど他の部分にも波及していることが多いです。
生理現象(寿命)
胡蝶蘭に限りませんが、植物は歩かないため急な置き場所の変更によって、落葉することがあります。新しい場所に適応するためにエネルギーを使うため葉を落とすんですね。
ただ、胡蝶蘭の場合は移動によって葉を落とすというような生理現象はほどんどありません。
移動によって葉が黄色くなる例として
お花屋さんの明るく温かい場所で飾られていたものが、贈答品によってオフィスの暗くて寒い場所に移動したとき、胡蝶蘭は何とか新しい場所に適応しようとします。
このケースで葉が黄色くなった場合、直接的な原因は低温や日照不足ですが新しい環境に適応するために、光の当たる方に葉向きが変わったり、花を落として養分を株に留めようとするなど、植物は本能として子孫繁栄のために生存しようとします。
また生理現象の1つに寿命があります。
寿命によって葉が黄色くなっている場合は、冒頭で説明してきた根本的に根が傷んだことによって起こった場合と様子が異なります。
根が傷んでいる場合、初期は葉は肉厚で濃い緑色の部分は残っており、葉の一部が黄色くなっているのに対し、
寿命によって葉が黄色くなる場合は、葉は肉厚ではなく水分をあまり含んでない、乾燥に近い状態になっておりだんだん茶色くしなびて葉が落ちます。
黄色くなった葉の対処法
一度黄色くなった葉の部分は緑色に戻りません。
そのため黄色くなった葉は取り除く必要があります。
殺菌消毒したハサミなどを使って切り取りましょう。
まとめ
胡蝶蘭の葉が黄色くなり落ちる原因は、主に根の傷みです。
そして根が傷んでしまう原因は水のやり過ぎであったり、寒さや日照不足、湿度不足など、胡蝶蘭が元気に育つ理想的な育て方が出来ていないからです。
胡蝶蘭を元気に育てるためには自生地の環境を再現することです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。